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山﨑 ローソン

東京レインボープライド2018 パレード

どもっ、ローソンです。
さてさて、毎年の恒例行事として、LGBTの間だけではなく広く認知度が上がってきている東京レインボープライドが今年も無事開催されましたね。
今回はその二日目に行われたパレードの様子と、代々木公園で気になったブースをピックアップしてレポートしていきます。
後日Podcast内でもご紹介する予定ですのでお楽しみに!

記事内の写真ではパレードの参加者と、一部ブースの出展者の方が含まれています。
不都合がありましたら修正・削除等行いますので、お手数ですがPodcastのメールフォームからご連絡ください。

開催概要

東京レインボープライド2018

開催日 : 2018年5月5日(土)11:00〜18:00 / 6日(日)10:00〜18:00
会 場 : 代々木公園 イベント広場

LGBTや性的少数者が差別や偏見にさらされず前向きに生活できる社会の実現を目指したイベントです。
中でも二日目に開催されるパレードは、当事者はもちろんアライ(LGBTへ理解を示し協力するストレート)も含めたくさんの人数で原宿を練り歩く目玉企画です。

日本・東京でのLGBTに関するパレードは、1994年に開催された東京レズビアン・ゲイ・パレードから始まり、まあその後に様々なドロドロがあって現在は主催も名称も変わっています。このあたりが非常にLGBT界隈らしさですね。

パレード

まずは目玉のパレードからご紹介。
12時ごろにスタートし、代々木公園から公園通りを渋谷のMODI周辺まで歩き、明治通りを北上し神宮前交差点へ。そこから原宿駅方面に向かって歩きゴール地点の代々木公園へと戻っていきます。
東京に詳しくない方もご覧になると思いますのでイメージとしては、都内でも一番と言っていいくらい人通りが多いエリア二箇所を制覇するものすごいルートなのです。

神宮前交差点付近

東京レインボープライド2018 パレード

僕たちがバレードの列に最初に遭遇したのが、原宿と表参道が交わる神宮前交差点。
賑やかで明るい雰囲気で、家族連れで歩いている方も多く見られました。

東京レインボープライド2018 パレード

こちらは代々木公園寄りで撮影した1枚。
パレードの先頭にはフロートがあり、音楽をかけたり参加者を盛り上げたりする役目をしています。
パレードはいくつかのグループに分かれており、写真に写っているNIJITというグループはマイクロソフトIBMといったIT系企業が主催しています。
会社のロゴ入りのレインボータオルを持っている人も多く見かけて、僕たちも「あれめっちゃ欲しいね〜」なんて話してたりしました。

東京レインボープライド2018 パレード

こちらは台湾から来ている台湾伴侶権益推動連盟という団体。台湾といえばアジアで初めて同性婚が正式に認められた国で、この団体もそれを進める活動をされていたそうです。
写真は撮りそびれたのですがフロートにHornetというゲイ向けの出会いアプリが広告を出していて、国外産のアプリがこういう場で広告を出しているのはすごいなーと思いました。
その他のアプリだと国内から9monやメンミクが参加してますね。

ゴールの代々木公園へ

東京レインボープライド2018 パレード

一通りまちを練り歩くと、ゴール地点の代々木公園のイベント広場へ入っていきます。
こちらは“みんな”で、ブラス!という吹奏楽をしている人の集まりですね。
僕はパレードのルート付近は一通り歩いたことがあるのでなんとなくの距離感はわかっているのですが、暑い日差しの中あれだけ歩いてもみんな笑顔なのはすごいですね…。しかも楽器吹いてるし。

ブース

続いては代々木公園内イベント広場に設置された各ブースをご紹介。
小さな団体から大企業まで様々なブースが並び、LGBTに関する取り組みを公開しているところもあれば商品の販売を行っているところもあります。

コンドーム試着室!? SKYN

東京レインボープライド2018 コンドーム試着室

開幕早々ホモの間でリツイートが回り話題になったのが、コンドームメーカーのSKYNのブースにあるコンドーム試着室
股間部分だけがプラスチック製の板でカバーされ、思わずドキッとした人が多数いたみたいですが実際は記念撮影スポット
スタッフの方にスマホやカメラを渡し撮影するスタイルで、撮影後にSKYNの製品サンプルや、ゲイ・セックスで気をつけるべき点がイラストで描かれた冊子をいただきました。

コンドームメーカーのほか、オナホールで有名なTENGAのようにアダルトグッズメーカーも参加しています。
ただ、昼間の屋外ですし、やらしい感じを出すような表現は少ないのでその手のものが苦手な人も気にせず来られるのではないでしょうか。
これらのメーカーのブースでは、セックスでのコミュニケーションについての問題解決や、性感染症の予防といった趣旨の展示も多く見られました。

和装で同性婚 ホテルグランヴィア京都

LGBT向けの旅行や観光に関連する企業が共同で出しているブース内で、和装で同性カップルの結婚式を挙げるキャンペーンを行っているホテルグランヴィア京都が和装体験をしていました。
TRPでは海外からこの日に合わせて旅行に来る方も多いため、和装を着られる体験はなかなかに好評な様子でした。
同ホテルでは京都・花園にある春光院と提携し、仏前で同性カップルでの挙式をするプランを提供しているそうです。

東京レインボープライド2018 同性婚

ちなみに僕は身長が184cmあり、一緒に撮影した友人は更に高身長。
羽織るだけではありますがお手伝いをしてくれたスタッフの方も大変だったろうなと思います……。

制度としての同性婚は日本では挙げられないですが、年々、同性カップル向けの結婚式キャンペーンを目にする機会が増えてきました。
転機とも言えるのは2013年、東京ディズニーシーにて東小雪さんが女性同士で挙式をしたことが大きく報道されました。
残念ながらお二人は離婚されてしまったのですが、同性婚のモデルケースとして前に立つ機会が多かったので理解を広める上で大きな役割を果たしたのではないでしょうか。

なくそうSOGIハラ!

上記の企業ブースは比較的大きなところが多く、撮影スポットやサンプル配布などで派手めな感じです。
こういったブースはTwitterでもよく流れてくるのですが、もっと小さな団体・コミュニティーのブースもたくさん出展しているのもTRPの姿のひとつです。

そんな小規模ブースが集まるエリアを歩いていると、なんだか見覚えのあるタッチの漫画が展示されていました。

東京レインボープライド2018 づんたくん

東京レインボープライド2018 SOGIハラ

なくそう! SOGIハラ』というキャンペーンを行っているブースです。

SOGIとは『Sexual Orientation』(性的指向)、『Gender Identity』(性自認)の略。
それぞれの用語を簡単に解説すると、性的指向はどんな性別の相手を好きになるか、性自認は身体的特徴から決める性別ではなく、自分の心はどんな性別だと考えているのかといった意味合いです。
僕の場合は性的指向はゲイ(男性を愛する男性)、性自認は男性で身体的性別も男性です。なんとも回りくどい言い方ですが、体も心も男で、かつ男にしか恋をしないって感じですね。

そんなSOGIを理由に差別や嫌がらせを受けることがなくなるようにするのがなくそう!SOGIハラの趣旨です。
同キャンペーンのサイトでは、Podcast番組『若ゲイのいたり』のパーソナリティの一人、づんたくんによる漫画が掲載されています。
SOGIハラについて言葉で説明するだけではなく、漫画を使って実際の日常生活の中でこんなことがあるよという例を挙げています。

SOGIハラについては、わざわざ新しい言葉を作らなくても普通にセクハラの範疇なんじゃないかという批判をTwitter上で見かけたことがあります。
僕自身も同じことを思わなくもないのですが、正直新しい言葉でも作らないと伝わらないような人が多いから性的指向や性自認に関わる差別がなくならないんですよね。
漫画という媒体を使うことで文章よりもよりわかりやすく伝えているのはとても好印象だと思いました。

FTM向けマガジン Laph

続いては日本で唯一のFTM向けマガジン Laphのブース。
FTMとは、Female To Maleの略称で、身体的性別が女性で性自認が男性の方の総称です。
言葉だけ聞くと性転換手術をした人のように聞こえますが、僕の実感としては手術の有無で区分けしている感じではないと思っています。このあたり、いつかトランスジェンダーの方をゲストに呼べたら聞いてみたいなぁ。

ゲイ(主にシスジェンダー・ゲイ)向けの雑誌やフリーペーパーは昔からよく見かけるのですが、FTMに限定したものは僕も初めて出会ったので、サンプルに置かれたバックナンバーを興味深く眺めてしまいました。
見た目もただ男性的であるというだけでなく、シスジェンダー男性と同じように髪型や服装が千差万別。そういう当たり前のことを、実際に写真やインタビューの中で触れられるのはとても良いなと思います。
ゲイ雑誌なんてみんな同じような見た目ばっかりなのにね……。(ティーンネイジャーの僕が最初に触れたゲイ雑誌がバディだったために、自分の脂肪と顔にだいぶ落ち込んでました)

東京レインボープライド2018 名取寛人

ブース内にいたとても目立つ格好をした方は、最初会場内でよく見かけるドラァグクイーンの一員なのかと思ったらなんとFTMのバレエダンサー!
こちらの名取寛人さんは、テレビCMでもよく見かける男だけのバレエ団、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団初の日本人ダンサーだったそうです。
男性が女性バレエダンサーを模した格好をしてダンスをするコメディチックな内容で、そんな中でFTMである名取さんが女性の格好をするというのはなんとも不思議で興味をそそられる話でした。

そんな名取さんの生い立ちを書いた自叙伝『スカートはかなきゃダメですか?~ジャージで学校~』がLaphのサイト内で販売されています。
写真中央のブース担当者の方が持っている本です。ご興味のある方はぜひ。

レインボーカラーの数珠をつくろう。レインボーメモリー

今年のTRPの中でも話題になっていたことのひとつに、LGBT向けの葬儀やお墓に関するブースが数箇所ありました。
これもLGBT業界の高齢化……というより、ようやくセクシャルマイノリティであることをカミングアウトし日常生活を送った上で、セクシャルマイノリティとして死ぬことができる時代が来たのかもしれないですね。

カラフルな棺への納棺体験を行っているブースも気になったのですが、ああいう死を感じる体験がちょっと苦手なので、模擬葬儀を行っていたレインボーメモリーのブースへやってきました。
レインボーカラーの祭壇の前で来場者の方の模擬葬儀を行っており、その裏では一回500円でオリジナルの数珠をつくるワークショップが開催されていました。

東京レインボープライド2018 数珠作り

色とりどりの珠を自分でピックアップし、用意された紐に通していきます。
パステルカラーの珠が多いのでなかなかかわいい感じに仕上がる人が多そう。

東京レインボープライド2018 数珠作り

まあ僕は渋めな配色中心なんですが……。

東京レインボープライド2018 数珠作り

珠を入れ終えたらスタッフの方に端の処理をしてもらい完成!
背景の祭壇のカラフルさもありなかなかに奇妙な数珠に見えますね。地味めな体験ながら楽しかったです!

まとめ・感想

LGBTビジネスの活性化とライフスタイル

今回のTRPで感じたことのひとつに、ライフスタイル関連の企業や団体がこれまで以上に目立っていました。
記事内でも触れた冠婚葬祭に関連する事業や、入口からすぐの目立つところでブースを出していたSUUMOのような不動産事業、それから生命保険などのブースも力が入っていたように感じます。
LGBT向けのビジネスが世間でもかなり活性化していることを肌で感じる機会が増えてきていますが、性生活やアパレル、美容の分野だけでなくライフスタイル関連でも広がっているのは興味深いです。

性的少数者であることをカミングアウトするハードルが下がり、オープンにした状態での生活だからこそ起こってくる新たな問題も増えてきているのでしょう。
僕自身もこれから歳を重ねるにつれいろいろと悩みが増えてくると思うので、そういう心配が減った状態で老後を迎えられるように各企業には頑張っていただきたいところでございます。

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